ペルシャ美術

ギャッベ Gabbeh

日本では聞き慣れないギャッベという言葉は、ペルシャ語で「長い毛足を持つ絨毯の一種」という意味を持っています。
基本的に、私ナザリが思っているのは、本物のギャッベはイランにしかありません。
ということは、イランのギャッベ以外は偽物と思っています。
ギャッベはガシュガイ族とバクティアリ族の二つの民族しか織ってないものなのです。
ガシュガイ族とバクティアリ族が暮らすファース州は、イランの真ん中あたりにあり、州都シラーズは、薔薇と葡萄酒と酒と詩人の街として人々に愛されています。
シラーズの近くに世界最古の帝国、古代ペルシャ帝国の都ペルセポリスがあります。
帝国の創始者キュロス大王は、世界の人権の父と言われ、今も国連の人権オフィスではキュロス大王の法が使われています。
約2500年前、人間の権利を守る法律は、今のイランのど真ん中から生まれました。
ギャッベは、このファース州に住む二つの遊牧民の女性達によって、移動の最中に即興で手早くざっくりと織られるのが特徴と言えます。
パウル・クレーの絵を絨毯にしたかのような素直な色彩とデザインが印象的ですが、絨毯とは異なり下絵などなく、子供の頃より伝承された図柄に嫁ぎ先の図柄を入れたり、まわりの風景や日々の出来事や願いを思いのままに織り込んでいきます。
羊の毛を刈り、糸に紡ぎ、草木で染め、織っていく、その工程すべてが手作業。
大自然と動物と植物と人間の関わりの原型のような、砂漠と羊と草木と人のコラボレーション。
ギャッベの持つシンプルで、ナチュラルで、イマジネーション豊かな世界に、世界の人々が感動したと言えましょう。

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